中小企業のSFA/CRM/MA、それぞれの役割と効果的な活用法は?

2018.01.25 ITトレンド
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モノやサービスが簡単には売れない時代、効率的な営業活動をするために必要な「システム」の違い、それぞれの役割とは?

ひと昔前まで、営業といえば「営業担当者個人の経験や勘」に頼って行われることが一般的でした。良いモノ・サービスであれば、売れていた時代。個々の営業担当者が頑張って活動していれば、十分な売上を立てることができていました。

しかし、競合が増え、似たようなモノやサービスがあふれ、インターネットを使えば顧客が自分で情報を得られる現代は、単に「良いモノ・サービスを作れば売れる」 時代ではなくなりました。

現代でも、営業の基本は足を使った地道な活動です。しかし市場はめまぐるしく変化し、ライバルとの競争は激しくなり、さらに営業の人材不足が深刻ないまのビジネス環境では、限られたリソースのなかで、どれだけ効率的な営業活動を行えるかが勝負となります。

効率的な営業活動に欠かせないのが、営業やマーケティングを支援してくれる「システム」です。以前は大企業しか使うことができなかったこうしたシステムも、今では機能も価格も幅広くいろいろなツールがあるので、中小企業であっても十分に活用することができるようになってきました。

そこで今回は、営業・マーケティングのツールを選ぶときによく登場する「MA」「SFA」「CRM」の役割と、活用法を解説します。

SFA(Sales Force Automation)

SFA(Sales Force Automation)

勘や経験ではなく、科学的な営業を実現する

SFAとは、商談の過程を管理するためのシステムです。商談開始から契約成立までをいくつかのステップで区切り、「どの顧客がどのステップまで進んでいるのか」「次のステップへ進むために、営業担当はどんなアクションをすれば良いのか」を管理することで、効率的な営業活動が行えるよう支援してくれます。

いわゆる「営業プロセスの管理」であり、昔からアナログでも行われてきた手法ですが、SFAで行うメリットとして「数字による分析がしやすくなる」という点があります。

例えば、「最初の訪問」から「具体的な提案書の提出」まで進む確率は何%なのか、「キーマンへのプレゼン」から「契約の成立」まで平均でどれくらいの日数がかかっているのか…といった数字が分かれば、現在の案件の進捗状況を、経験や勘ではなく、科学的に分析することができます。

営業マネジャーにとっては、予実の進捗状況・ボトルネックとなっているポイントが把握しやすく、途中のステップでつまずいているメンバーが分かるのでフォローしやすくなるなどのメリットがあります。

営業メンバーにとっては、ステップに応じてやるべきアクションが明確になり、他のメンバーがどんな行動を取ってどんな結果を出しているのか共有できるので、チーム全体のパフォーマンスが上がることが期待できます。

ステップの設計を行う必要はありますが、「営業プロセス管理」は昔からアナログでも行われているので、システム化は比較的しやすい部類でしょう。

代表的なSFA
Knowledge Suite
Senses
ちきゅう

CRM(Customer Relationship Management)

CRM(Customer Relationship Management)

顧客との絆を深めてリピートの売上増大を狙う

CRMとは主に、既存顧客との応対履歴を管理するためのシステムです。いつ・どの担当者が・誰と・どのようなやり取りをして、結果としてどうなったのか、履歴を記録していきます。

いわゆる「顧客台帳の管理」であり、こちらも昔からアナログでも行われてきた手法ですが、システムを使うメリットとして「関係者の間で、情報共有がしやすくなる」という点があります。

契約(受注)が成立すると、営業担当だけではなく、開発担当者やお客さま窓口の事務担当者など、いろいろな関係者が顧客と関わることになります。担当者によって、所在地も連絡先もバラバラです。そのときに、顧客とのやり取りの履歴が管理されていなかったら、どうなるでしょうか。

もしかしたら「営業は〇〇だと説明したのに、お客さま窓口では××だと、真逆の説明をしてしまった」「開発にクレームが入っていたのに、営業がそれを知らずに訪問してヒンシュクを買ってしまった」…というようなことが起こってしまうかもしれません。

CRMを活用することで、顧客と関わる当事者が増えてもスムーズな対応を行うことができ、顧客満足度の向上や、長期的な取り引きにつながることが期待できるのです。

SFAと同じく、CRMの元となる「顧客台帳の管理」はアナログでも行われているものなので、システム化は比較的行いやすいでしょう。

代表的なCRM
Salesforce
Zoho CRM
SanSan

MA(Marketing Automation)

MA(Marketing Automation)

自動化の効果は大きいが設計が難しい

MAは、”Automation”という名前のとおり「Webを活用して、見込み客へのアプローチを”自動的”に行うためのツール」です。

MAは、Webサイトに訪れた人、一人ひとりの行動を記録します。具体的には、どのページを・どのくらいの頻度で・どのくらいの時間見に来ているのか、といった情報です。

もちろん、Webサイトを見ているだけでは個人を特定することはできません。しかし、例えば「メールマガジンに登録する」「プレゼントに応募する」「資料をダウンロードする」というような場合には、Webサイトで個人情報を登録することになりますよね。

すると、MAがそれまでのWebサイトでの行動を個人情報と結びつけて、「特定のユーザーの見込み度合いの高さ」を分析できるようになるのです。

見込み度合いの高さは「スコア」で表現されます。ユーザーが一定のスコアに達した場合、例えば「料金表のページを何度も見ている」といった場合に、自動的に製品の詳細情報をメール送信したり、今までとは違うページに誘導したり、営業担当者にアポを申し込むよう通知したり…といったことを、自動で行うことができるのです。

ここまで読んで「なんだか凄そうだけれど、難しい話だなぁ…」と思われた方、その感覚はもしかしたら正解かも知れません。

いくら「自動でやってくれる」と言っても、設定を行うのはあくまで人間。どのタイミングでどんなアクションを行うのか綿密に考えなければ、効果を上げることはできません。専任のマーケティング担当をおけない場合、もしかしたら活用することが難しい場合もあるでしょう。

代表的なMA
HubSpot
SATORI
MailChimp

まとめ

MA・SFA・CRMのそれぞれについて解説してきました。実際には、各領域は密接に関係しており、例えば最大手である「Salesforce」は、それひとつで全ての領域をカバーできる機能を持っています。

最近では、営業・マーケティング系の展示会やセミナーへ行くと「MA」が派手に宣伝されていますが、中小企業にとっては「売上のメインが既存客ならCRM」「売上のメインが新規客ならSFA」から導入するのが、もっとも効果が高いのではないかと思います。

自社の状況とツールの役割とを照らし合わせ、導入するツールを見極めて行きましょう。

この記事を描いたひと

untenna編集部

企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。

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