音声検索最適化「VSO」。急増する音声検索の実態とこれから。
VSOとは、音声検索に特化した新しい検索最適化システムです。当記事では、VSOとは何か、その具体的な対策方法についてご説明します。自社サイトにVSOの施作を施そうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
音声検索最適化「VSO」とは?
VSO(音声検索最適化)とは、そもそも何なのでしょうか。
音声検索は、スマートフォンやiPadなどのデバイスに備え付けられたツールに直接声を入力する新しい検索方法です。音声検索においてユーザーが検索するワードは「〇〇 〇〇」のように単語の羅列であったり、「〇〇は?」といった質問形式が多くなっています。そのため、従来のSEO(検索エンジン最適化)では対応しきれなくなったため、新たに生まれたのがVSOです。
VSOでは基本的に質問形式や会話形式が多い音声検索にサイトを適応させていくことになります。
音声検索のニーズは増えている
技術的背景には、音声をインターフェイスとして多くのコンポーネントを使用して関連する結果をもたらし、コンテキストベースのシステムの開発があって実現されてきました。
日本人は現在10代以上の年齢層は45%が音声検索を使用していると言われており、スマートフォンなどの各種デバイスの普及とともに音声検索の使用率も飛躍的に高まってきました。
音声検索が使われるシーン
音声検索が便利な点として、「タイピングするよりも早くワードを入力しやすい」「ハンズフリーで入力できる」という点があります。では、どういったシーンで使用されるのでしょうか?
それは「プライベートな空間」です。音声検索は声に出すという性質上、人混みで使うことを避ける人は少なくありません。そのため各種自宅や自家用車の中でなど、他人の目がない場所で使用されることが多くなっているのです。
実際に音声検索のアシスト機能がついた商品は家電などを見ればわかるように、プライバシー空間での使用を想定したサービス展開が多くされています。Amazon EchoやGoogle Homeなどは、自宅での音声アシストのために作られた商品の代表格です。
また、車中で使用する場合も「ハンズフリーである」「プライバシーが保護されている」という観点から、公共のスペースと比較して使用頻度が高くなる傾向が予想されます。いくつかの自動車メーカーは製品に音声アシスト機能を搭載しており、FordはすでにAlexaを自社製品に搭載、ヒュンダイもGoogle Assistantの搭載の計画があります。
音声検索で使われる3つのツール
ユーザーの肉声を感知し、それに応じたタスクを実行するのがAIアシスタントです。音声検索で使われるAIアシスタントはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは代表的な物をご紹介します。
GoogleAssistant
Google Assistantは、GoogleがリリースしているAIアシスタントです。「オッケーGoogle」のフレーズが馴染み深いという方も多いのではないでしょうか。そのメリットは以下のようになります。
- 音声認識力が高い
- Googleのアプリやサービスと連携が効きやすい
- 質問への返答内容が良質
Androidのスマートフォンであればデフォルトでアプリが入っていて、それ以外でもインストールするだけでいいという、手軽さなAIアシスタントと言えます。
Alexa
Alexaはアマゾンが開発したAIアシスタントです。その特徴は、複雑な内容を一問一答形式で処理してくれるという点です。
例えば「〇〇の予定を入れて」と言えば「何日にしますか?」「何時ですか?」といったように、細分化して質問してくれます。AlexaではAmazon Echo(アマゾンエコー)などのスマートスピーカーを使っていて基本的には音声検索に特化しています。
Siri
Siriはスマートフォンやスマートスピーカーなどによく搭載されているApple製のツールです。Siriの特徴はユーザーが入力した言葉に応じてアプリケーションやサイト検索を行ってくれるという点にあります。
例えば、「〇〇がしたい」と言えばおすすめのサイトやサービスを紹介してくれたりもします。また、一度ショートカットに経路やサイトなどを登録しておけば一言で表示される手軽さも魅力のひとつです。
VSO対策、6つの方法
VSOで効果的に検索順位を上げるためにはどうすればいいのでしょうか。
以下の項目からは具体的な方法についてご説明していきます。
タブレット対策を施したページデザイン
ユーザーは音声検索をスマートフォンやiPadなどのタブレットで行う比率が非常に高くなっています。そのため、Webサイトもスマートフォン向けにデザインを見やすくする必要が生じるのです。
タブレット向けにサイトを回収する場合、レイアウトだけでなく内部リンクやコンテンツなどをPC版からどの程度削減するかも考えなければなりません。Webサイト制作の際はスマホ向け、タブレット向けそれぞれのUX(ユーザー体験)を意識してページを作りましょう。
スマホ向けページではメインコンテンツも内部リンクも全て残します。同時にCSS(JSではなく)で折りたたむ、非表示にしておく事が望ましいです。
テキストを会話調にする
音声検索は、キーワードが質問文化しやすい傾向にあります。従来の検索方法ですと単語の羅列になりますが、音声検索の場合ですと、その内容も口語調になるのです。
例えば「〇〇 おすすめ」の場合、「〇〇のおすすめは?」といった風になります。そのため、サイト内のテキストも音声検索に最適化するには、キーワードを含んだ文章を口語調にする必要があります。
Q & Aを掲載する
VSO対策として、質問形式のQ&Aも作成しましょう。こうすることにより自然に前述の会話長のフレーズをコンテンツ内に含めることができます。
また、Googleでは質問形式で検索を行った際に、その回答内容を含むWebサイトを上位表示すると公式で発表しています。これを強調スニペットと言うのですが、GoogleのAIがサイト内を巡回した際に適切な評価を受けやすくするためには以下の要素が必要となります。
- サイトの構造が複雑すぎないこと
- 質問事項への回答を適切に表示していること
Q & A形式の文章をサイト内に配置すると、上記の条件を満たしやすくなります。そのため、結果的にもGoogleからも「ユーザーの疑問に答えている」と判定され、音声検索においても上位表示されやすくなるのです。
コンテンツをローカライズする
音声検索では「ローカルSEO」も重要です。具体的にローカルSEOが何かと言うと、「〇〇(地域名)飲食 おすすめ」といったように、地方ごとのキーワードを含んだコンテンツを作成することを指します。
音声検索においては地域名をキーワードに含むことが多いので、特に商品やサービスを展開しているサイトの場合は以下の対策を積極的に行いましょう。
- Googleマイビジネスへの登録
- タイトルや見出しにローカルワードを入れる
- NAP(名前、住所、電話番号)の表示
Googleマイビジネスは登録すれば自社の情報をGoogleマップに表示できるサービスのことです。実店舗でのビジネスを行っている場合は特に効果的な施作といえます。
ページの読み込み速度を上げる
これはスマホやタブレット向けのページを作ると言うことと通じる部分があります。VSO対策を行う場合は使用デバイスのことを鑑みてページの表示速度もなるべく高速化するようにしましょう。
表示速度計測の計測ツールとしては「Page Speed Insights」や「Test My Site」などがあります。実際に、Googleから音声検索で上位表示されるサイトのほとんどは、平均よりも50%も読み込み速度が速かったそうです。
上記のツールを使いサイトが重たいとの判定を受けた際は、画像ファイルの要領やサーバのJavaScriptファイルをまとめるなどしてサイトを軽くしましょう。
サイトのセキュリティを上昇させる
SEO調査会社のBacklinkoが発表したデータによると、音声検索で上位表示されたサイトの7割以上がHTTPSで保護されたサイトとのことでした。
HTTPSとは通信をより安全に行うためのプロトコルのことですが、これによりサイトを強固にすることでGoogleからの評価も相対的に上がるのです。
VSOのこれから
VSO対策は、今後も必要とされるのか疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。以下の項目からは、日本と海外の比較も交えて、そういった事柄についてご説明します。
世界的に音声検索は増えている
冒頭でも述べたように音声検索のニーズは年々上昇していて、2020年には検索方法の約半分を占めるようになるという予測がComScore社から出されています。
アメリカにおいてはアレクサのスキル数が日本の30倍あるなど、AIアシスタントの普及や技術進歩は加速度的に進んでいます。そのため、音声検索が行われる割合も増えていく可能性が非常に高いと言えるのです。
最近登場した音声広告
音声検索の普及に伴い、新たなデジタル広告も生まれました。それがデジタル音声広告と対話型音声広告の2種類のAIアシスタントに対応した広告のことです。
デジタル音声広告はすでにかなり普及していて、動画配信サービスなどで合間に流れるものです。対して、対話型音声広告はAIがユーザーと常に対話し、その反応次第で広告の表示の有無を決定できるというものです。
ただし日本での普及はもう少し先
しかしながら、日本での音声検索の普及率はやや低めで、これは人前で音声検索を行うことを恥じらう傾向にある国民性が影響しているとも言われています。
ただし、Amazon EchoやGoogle Homeといった自宅や車中などのプライベート空間で使用できるデバイスが日本でも普及することで、国内での音声検索の割合が増えることは考えられます。さらには、デバイスに抵抗のない世代が年々増えていくことも鑑みると、VSO対策について今から学んでおくのがおすすめです。
まとめ
近年急速に普及が進んでいる音声検索。
日本では海外に比べて若干普及速度に遅れがあるものの、それでも今後ともスマートフォンやタブレットなどのデバイスを使える層が増えていくことを考えれば、VSO対策は必要と言えます。特に、飲食業や小売り、サービス業などのビジネスを行っている方には、VSO対策はより大切になってくるのではないでしょうか。
「ヘイ、Siri。ポトフの作り方教えてー」
この記事を描いたひと
企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。