Z世代に刺さるコンテンツって何だろう?|Webコンサル・運用支援チーム座談会
教育業界を中心にWebコンサル・運用支援を行うチームに、今の学生へ向けたコンテンツの届け方について質問してみました。
Webサイト、アプリ、SNS、口コミ、様々なタッチポイントが乱立する今、日々の苦闘や葛藤などをざっくばらんに話しています。
Webコンサル・運用チーム
平田 希:無類のリプトン好き 河野 励:音楽とサウナ、時々ゲーム 奥 健二:隠れ多趣味 梁川 真紀:野菜ソムリエ 住友 正人:部屋充実士
インタビュアー
丸山 享伸:YouTubeの投稿を1回で辞めた人
Webコンサル・運用支援チームとは
教育関連を中心にWebサイトの制作やWeb広告の運用、アクセス解析やABテスト、コンテンツマーケなどのSEO施策、定期ミーティングでの効果測定やコンテンツ提案、その他更新業務など、Webサイトを軸として包括的に行なっています・・・と言うと真面目ですが、いわゆる何でも提案屋です笑
基本は大学・短大・専門学校がメインになりますが、BtoBの企業やメーカーも一部いらっしゃいます。大学と短大の学部を入れると分野は広く、専門学校だと今は音楽系、IT・ゲーム系、医療系、動物系になります。
分野の違いはありますが、コンテンツ作りでは主に「Z世代に向けた」ものが多いですかね。
学校サイトでZ世代向けとなると、ターゲットは高校生になるんですかね?
そうですね。メインターゲットは高校生で、そこに学び直しで再進学を目指す社会人の方も含めて、15〜25歳くらいまでの方をZ世代として捉えています。
あ〜、なるほど。そんなZ世代向けのコンテンツを制作する上で大切にしていることはなんですか?
5〜6年前から学校サイトのWebコンサル・運用支援をしていますが、流行がどんどん変わっていくのは怖いくらいに実感しています。環境が変わっているのもあるんですが、エンドユーザーの行動特性はほんと頻繁に変わるので。
当たり前なことですが、5年前の高校生が見ているものと今の高校生が見ているものって全然違うんですよね。
社会に出て、大人になり成熟してくると日常的に触れるコンテンツって良くも悪くもあまり変化しなくなると思うんです。それが高校生だと流行や環境に直結しています。
私たちはZ世代と年齢が離れていくけれど、その世代はずっと変わらない・・・みたいな笑 この辺りの「世代に食らいつく・追いかける」感覚はチームでも大切にしていますね。
「大人になると触れるコンテンツが変化しない」は耳が痛いなぁ…笑
ちなみに、今ってタッチポイントが多いじゃないですか。学校サイトの場合はこの辺りの流入経路や導線の確保が難しそうに感じるんですが、その辺りの設計ってどうしていますか?
基本はタッチポイントごとにクリエイティブや訴求のバリエーションを用意していますかね。広告だと「どんなバナーから流入し、どのコンテンツを見て・どこに納得して申し込みに至るか。」を一連の文脈で考えて作っています。
Z世代によく言われる事ですが、今の世代は検索エンジンを使用する人も減って来ているので、ただWebサイトを作るだけでは効果が出ません。サイト制作での「辿り着くまでの設計」はどんどん複雑化してますね。
実践者が感じる、Z世代へ向けたコンテンツ制作のポイント
今の話に加えて個人的な質問にもなるんですが、今のZ世代が「ググらない」「広告に嫌悪感がない」と言われている一方で、「○○世代」という括りは世代間の分断を埋める簡略的な解釈だと懐疑的に捉えていたりもするんですが、ここは実際に現場で関わってる人たち的にはどうなんですか?
「他の世代と比べると少ない」というのは確かですが、それでも一番使われているのはGoogleになりますかね。“全く検索しない”という認識は無くて、TikTokやインスタなどの「タッチポイントが増えている」解釈です。
流入キーワードから見ていくと「検索の仕方が違う」と感じることはあります。例えば、IT系の専門学校に行きたい人だったら「IT 専門学校」が普通の検索方法になるんですが、これが「会社名 専門学校」に変化しているとか。
「パソコンでできる仕事」とかもありますかね。「パソコン 専門学校」とかも。
あるある!
えぇー、おもしろい!「パソコン 専門学校」だと、街のパソコン教室みたいな感じがしますけどね。Word・Excel教えます!みたいな。
あと、Z世代向けに気をつけるポイントで感じるのが「分かりやすい文章が好まれる」という点。
ただ書いているだけではダメで、期待感や納得感を得て自分自身で判断できるように読ませる工夫をすることが大事になります。なので、コンテンツのタイトルでも文字数の多さは気にしなくなったかなと思います。
文字数の多い曲名やバンド名が最近は増えているじゃないですか。タイトルはちゃんと見てくれるけれど、本文はほとんど読まないという印象です。タイトルだけで興味のありなしを判断している感じがあると感じます。
ブログのタイトルでも「タイトルで結論を書く」ことは昔から言われていて、すごく本質的な感じがしますね!
コンテンツSEOが盛んになり”欲しい情報へ辿り着けない”検索市場になって、面白いコンテンツが評価される時代になりタイトルが重視されるようになった・・・って、検索の世の中としては良くなった感じがしますね。
そうですね。早く答えを知りたい、という。
例えば“まとめ動画”にしても作り方が今までのメディアとは違うんですよね。
「今はこう言うのが分かりやすいのか」「それだったら、コンテンツはこんな風に変えていこう」などの情報感度は重要になってくると思います。
Z世代に関する情報はどう集める?
若い世代がターゲットになるとやっぱり情報の感度は重要になってきますよね。広告やPRを担う仕事をしている人の宿命ですが、知見を広めるための活動はどうしてますか?
「情報収集」と聞くとよく「SNS」の回答になると思うんですが、今のSNSは年代で絞られたり・自分の好きなものしか流れてこなかったり、普通の生活をしていたらまずZ世代と同じものに出会わないんですよね。
大きくは「トレンド」と「分野(学科)」の2軸で集めていて、今だと共感マップというフレームワークで高校生が普段見ているもの・聞いてるもの・考えていることを視覚化するようにしています。
例えば、ahamoやライバーの事務所のWebサイトなど、高校生が目にしているものがどのように表現されているのかも研究対象になりますかね。
ターゲットとなる高校生をモニターに直接リサーチすることもあるんですか?
以前にTikTok・YouTube・Twitter・InstagramなどのSNSで、今学生に人気のあるアカウントまとめを作ってもらったことがあります。「今学生の間でこんなの流行ってます」や「今の高校生には○○が人気みたいです」などは担当者の方にご協力いただくことが多いですね。
コンテンツ作り1つにしても事前準備がかなり多いですね。
更新依頼でも「話題になったものをすぐに反映して欲しい」のはやっぱり多いんですかね?
来校イベントだとそうなりますね。話題性のある方を呼ばれている事が多いので、音楽系の専門学校だと人気の声優さんとか。
私の場合は更新依頼を通じて「今はこういう方が人気なのか」と、そこから流行を知ることができています笑
知見を広げる、チームの取り組み
情報収集はチームの取り組みでも実はいくつかあります。
1つ目は「っぽいバナー共有会」。
ディレクターとデザイナーで共通認識を増やすのが目的です。例えば「ゲーム」という言葉で思い浮かべるものの溝を埋めていこうという会です。
2つ目は「Z世代研究会」。
Z世代の流行や、企業がZ世代向けにやっていることを調べて発表し合います。
3つ目は「EagleとNotionの活用」。
ナレッジ共有に近いものですが、過去のログが残るので振り返りがしやすいのと、お客さんと折衝する人以外も課題感を共有するのが目的です。(活用例:画像収集アプリ「Eagle」がWeb制作の現場でどう使われているかチームに聞いてみた)
4つ目は「社内向け勉強会」。
これは蓄積した知見を運用チーム以外に対してアウトプットすることで、自分の知識をブラッシュアップする取り組みです。
最後は「制作物のチーム内プレゼン」。
作ったバナーの制作意図や良かった所などを共有し合う場です。
盛りだくさんだ。。。
確かに、学校サイトのコンサルをするようになって数年経った時に「施策の年間スケジュールを組もう」「もっと先回り行動しよう」と言ってた記憶があります。
そのおかげで今は先回り行動がチームの当たり前になりました。
ニーズと話題性を兼ね備えた、新しいコンテンツ提案
ちなみに何かコンテンツ制作の事例は紹介できますか?
たくさんあるので迷いますが、先ほどの「先回り行動」にも繋がる事例でもあるのが、TSM(東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校)さんのボカロP・ネットアーティスト特設ページですかね。
東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校
https://www.tsm.ac.jp/vocaloid/
ボカロP・ネットアーティスト特設ページ
インターネット上で活躍するアーティストを目指したい方に向けた特設ページで、「ボカロ 専門学校」で検索すると上位に上がってきます。
当時、音楽に興味のある高校生を調べていたら、米津玄師やYOASOBIなど「顔出ししていないネット発のアーティスト」が増えている状況でした。それまではアーティストといえばバンドやグループのボーカルでしたが、高校生の音楽アーティスト像が変わってきていて、学校側がやっているボーカルコースの見せ方ではギャップがあったので、そのギャップを埋めるためにこちらから企画して提案しました。
じゃあ、この「ボカロP」や「ネットアーティスト」を学べるコースは無かったということですか?
当時は無かったですね。ボーカルのコースを学んで、ネットアーティストを目指す感じですね。
今高校生が見ているアーティストは誰か、ボカロPはどういう人なのか、ボカロPのイラストを書いてる人は誰なのか、とリストアップし、その中でチェリ子さん(@chie_rico)にメインのイラストをお願いする構成になりました。
さらにネットアーティストの職種をイラストで表現しようとそれぞれのイラストレーターさんを分け、企画リレーのような見せ方もしました。それぞれのイラストレーターさんからも発信してもらうことで、小さなバズが起きるかなと。
結果的にこのページを見て、資料請求してくれる方やイベントに来てくれる方が今でも継続しています。学校側もこのページの反応を見て、教育のカリキュラムを変えてボカロPのコースやVtuberのコースを新設しようとしています。
ニーズを読み解いてコンテンツを提案する、は理想系ですね。
これからの目標「Z世代のコンテンツ制作はもっと深い本質へ
まとめると「世代間の感受性を意識しながら、知見をチームで共有していく。」って事ですね。
常に時代を追っていく苦悩は絶えないと思うんですが、最後にこれからの目標や課題について教えてもらえますか?
これはもうZ世代とは関係ないかも知れないんですが、やっぱりチーム内の役割を属人化させないよう再現性を高めることに尽きると考えています。
そのためにも、ディレクターは制作の意図や期待する成果をきちんと言語化する。そしてデザイナーに的確に伝える。この精度を上げることだと思っています。
あとはターゲット層で捉えるとZ世代向けコンテンツと言ってますが、学校サイトは保護者とも密に接しているので、保護者も含めたマーケティング施策も重要だと思っています。
確かに。多面的なコンテンツとして位置するのがWebサイト本来のあり方ですよね。
最後に良い締めくくり、ありがとうございました。
座談会後記
集客ツールでありブランディングツールでもあるWebサイト。サイトを取り巻く環境は広がり続け、トレンドと共に複雑化するコンテンツ作りに奮闘するチームの取り組みを垣間見ることができました。
トレンドを追う難しさやサービス品質の安定を求める仕組みの必要性など、チームでの葛藤や手応えも感じられる面白い座談会でした。
Webコンサル・運用支援チームの取り組みはこれからも別企画にて取り上げていきたいと思います。
ちなみに・・・
今回の座談会後のアフタートークをユニオンネットの公式ポッドキャストでも配信しています。
ユニオンネットではWebコンサル・運用支援チームのディレクターを募集しています。
- 企画や提案〜制作フェーズまで、自身の裁量でクライアントの課題を解決したい
- 制作を内部で行うクリエイティブに強い組織で共創したい
- 将来のキャリアアップに向けてWebコンサルの経験を身に付けたい
弊社のディレクターは「プロデューサー」であり「コンサルタント」です。あなたの提案でクライアントの課題解決に繋げましょう。
Webサイトが大好きな皆様からのご応募を楽しみにしております。
Z世代の次って何になるんだろね?
この記事を描いたひと
株式会社ユニオンネットのスタッフ。
https://www.unionnet.jp/company/#staff
今回はWebコンサルティングや運用支援を行ってるチームに、“コンテンツ”の文脈でいろいろと質問をしていきたいと思います。まずはチームの仕事内容について教えてもらえますか?