中小企業に最適なBIツールはどれ?Power BI、Qlik Sense、Tableau比較。

2018.02.21 BIツール
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企業内のデータを一括管理して分析することで、迅速な経営判断ができると各企業が導入を進めているBIツール。しかし、BIツールには様々な種類がありどれを導入すべきか判断するのが難しい、という声が多く聞かれます。
※ 「BIツールって何?」という方はこちらを参照 → データ活用の強い味方「BIツール」の役割と導入ポイント

そんな中で、昨今注目を集めているのが「セルフサービスBI」。通常のパソコンにインストールして利用するため、専門の担当社員以外でも気軽にデータ分析ができる優れものです。

今回は、セルフサービスBIの中でもとくに中小企業に最適な商品を徹底比較いたします。

セルフサービスBIとは

そもそもBI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、部門ごとに管理していたデータを一括管理し多角的に分析できるようにするためのもの。これにより、迅速な経営判断と施策のPDCAが実行できるようになります。

従来のBIツールは、情報システム部門など専門担当社員が高度な知識を用いて分析することが一般的でした。しかし、それでは各部門が必要とするデータの抽出が遅くなったり、認識に齟齬のあるデータが抽出されたりして、BIツールがあるのに適切な分析が迅速に行えないという課題が発生していました。

そこで開発されたのが「セルフサービスBI」。通常のパソコンにインストールして利用するもので、直感的に操作できるUIのため、専門担当者だけでなくすべての社員が気軽にデータを分析できるツールです。

データを選択するだけで必要なグラフを作成することができるため、抽出したデータを元にグラフを作り直さなくてもよいためスピーディーな資料作成が可能に。担当者の仮説のもとに自由にデータを抽出できるため、高い精度の分析ができるようになりました。
セルフサービスBIは様々な種類の製品が販売されているため、導入時にはそれぞれの特徴を把握して自社に最適なものを選択する必要があります。

セルフサービスBIの選び方

では、自社にマッチしたセルフサービスBIはどのような観点から選べばよいのでしょうか。きちんと調べずに選んでしまうと、必要な機能がなかったり思わぬ課金が発生したりしてしまうことがあります。トラブルを避けるためにも、以下の3点にはとくに注意して選ぶようにしてください。

利用目的と利用者数を明確にする

セルフサービスBIは利用ユーザー数によって料金が異なるのが一般的です。そのため利用目的を明確にして、どの部署の誰がデータを扱うべきか、社内の利用人数を確定させてから導入を検討するようにしましょう。

データ容量と課金形式を確認する

初期費用、月額費用、利用ユーザー数による費用以外にも、データ容量やデータ転送による課金が発生する場合があります。
自社のシステムからセルフサービスBIにデータを転送する頻度が高い場合、都度課金されることで想定よりも利用料金が高くなってしまう可能性があります。データ転送による課金が発生するかどうかは注目しておくことをおすすめします。

データのバックアップ方法を決めておく

せっかく蓄積したデータが誤操作などにより消失してしまってはいけません。社内の情報システム部門と連携し、データのバックアップをどのようにするかなど、システムを安定して運用するための方法を決めておきましょう。
また、セルフサービスBIのバックアップ費用についても確認しておくべきです。

3大セルフサービスBIを徹底比較!

Power BI

Power BI

価格

無料/月間(無料/年間) ※1GBまで
1,090円/月間(13,080円/年間) ※ユーザー単位、作成者は無料

利用制限

上限10GB

性能

マイクロソフトが開発したBIツール「Power BI」。誰もが使い慣れているExcelをベースにビッグデータを処理することができ、グラフの視覚化も簡単に行えるのが魅力です。

プログラムを一切記述することなくデータ抽出やレポートの作成と共有、データの加工ができ、主要ベンダー製品の中でも最も扱いやすいツールと言えます。
レポートはモバイル・タブレットで確認・編集することができるため、外出先でも参照しやすいのもメリット。Power BIのサイトはHTML5で構築されているため、Webブラウザがあればいつでもどこでも作業することができます。

Google AnalyticsやFacebook、Salesforceといった外部サービスに接続してデータ分析することも可能。サービスごとにレポート作成のテンプレートが用意されているため、手軽にきれいな資料を作成することができます。
マイクロソフトが提供する機械学習クラウドサービス「Azure Machine Learning」と組み合わせれば、機械学習を利用した未来予測レポートを作成できるのも魅力です。

無料版もあり非常に低価格なのが魅力ですが、利用できる容量が少ないのがデメリット。データ容量を追加するためには別途コストが必要になるため、膨大なデータを扱う予定であればあまり向かないツールと言えるでしょう。逆に、少額から試してみたい企業やデータ容量が少ない企業には適していると言えます。

Qlik Sense

Qlik Sense

価格

無料/月間(無料/年間) ※お試し版、5ユーザーまで
約2,700円/月間(約32,400円/年間) ※ビジネス向け

利用制限

上限500GB

性能

スウェーデンのLund社の技術を元に、アメリカのQlik Tech社が開発した「Qlik Sense」。ローカルPC上に導入する無料の「Qlik Sense Desktop」と、クラウド上で利用し他ユーザーにもデータを共有できる「Qlik Sense Desktop」、大人数での利用に適して細かい機能が搭載された「Qlik Sense Enterprise」を提供しています。

ドラッグアンドドロップで簡単にデータを取り込み、見栄えのいいレポートを作成することができます。高速処理やデータ圧縮技術が適用されているため、サクサクと使い心地のいい操作感が特徴です。
HTML5で構築されたレスポンシブデザインのため、あらゆる画面サイズのデバイスにも対応。スマートフォンのような小さな画面でもスムーズに操作できるUIとなっています。
「データ・ストーリーテリング」という機能が搭載されているため、データ分析から得られた知見や洞察をストーリー形式でレポート化することが可能。プレゼンテーションにも最適なツールとなっています。

データガバナンスが採用されているため、管理者権限やセキュリティ機能が充実。データの信用性と安全性が高く確保されています。
容量が多く処理速度も速く、セキュリティ面でも信頼性の高いツールです。低価格で導入できるので、膨大なデータを処理したい中小企業に適しています。一方、操作に慣れるまでにある程度時間がかかるという意見も散見されます。導入する際は、慣れるまでのトレーニングコストも視野に入れておくべきと言えるでしょう。

Tableau

Tableau

価格

51,000円/年間 ※ユーザー単位、年間契約

利用制限

上限100GB

性能

アメリカのTableau Software社が開発した「Tableau」。直感的で洗練されたUIが最大の魅力で、ExcelやPower Pointよりも簡単にレポートを作成できるという声も多いです。
ファイルを指定するだけで簡単にデータを取り込むことができ、インストール後30分程度で利用できるようになります。
ビジュアルに優れたテンプレートが多数用意されており、グラフの表現方法も24種類と多彩。大量のデータを驚くほど手軽にレポート化することが可能なため、作業工数を大幅に削減することができます。

プログラミングの必要がなく、基本的にはドラッグアンドドロップで操作でき、超高速処理で集計されるため動作が快適なのも特徴。膨大なデータもサクサクと抽出、分析することができます。
Google AnalyticsやSalesforceといった外部ツールや、SQLデータベースやスプレッドシートなど様々なデータソースにアクセスできるため、多角的な分析が可能です。

スマートフォンやタブレットからもレポートを確認・編集が可能。忙しくても外出先からデータを参照することができます。
Tableauの魅力は何といっても優れたユーザビリティ。データ分析に関する専門知識がなくても、直感的かつ容易に美しいレポートを作成することができます。処理速度も高速なため、膨大なデータを扱う企業にも適しています。他のセルフサービスBIに比べると多少費用はかかりますが、初心者でも導入しやすいセルフサービスBIと言えます。

まとめ

「Power BI」はExcelをベースにしているため慣れたUIで利用しやすいのが特徴。データ容量は少ないですが、安価で手軽に始めやすいのがメリットです。

「Qlik Sense」は膨大なデータを専門的に分析することに向いており、セキュリティやデータの信頼性という面でも評価が高い製品です。
「Tableau」は優れたユーザビリティで初心者でも直感的に操作できるのが強み。簡単に美しいレポートを仕上げることができるので、データ分析の工数を大きく削減することができます。

このように、セルフサービスBIには様々な特徴があります。まずは、自社が必要とする機能や予算を整理してみてください。適切なツールを選択するための参考にしていただければと思います。

この記事を描いたひと

untenna編集部

企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。

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