2020年に利用が開始された5G。今度さらに普及が進めば、Webマーケティングの主流となるとされています。そこで、なぜ動画広告が普及するのか気になる方も多いでしょう。
当記事では、5GでWebマーケティングが変革する理由と動画広告の種類、利用するメリットなどを解説します。
5Gとは何?
近年注目を集めている5Gとは、第5世代の移動体通信技術のことです。移動体通信技術とは、持ち運びできる通信技術を指し、スマートフォンやポケットWi-Fiなどはすべて移動体通信技術となります。
2021年現在の移動体通信技術は、第4世代にあたる4Gが主流ですが、4Gの普及によって大容量の動画も安定的に配信できるようになりました。しかし、4Kや8Kといった高精細動画の登場やモバイル端末やネット接続できる家電などが普及。同時に多くの端末と接続する機会が増えたことから、4Gでも既にスペック不足となりつつあります。
これが5Gであれば、4Gでは遅延してしまうような大容量のデータでも、安定かつ高速に通信できるのです。
5Gの主な3つの特徴
4G以上の通信スペックを誇る5Gの代表的な特徴としては、「超高速かつ大容量の通信」「多数の機器との同時接続」「超低遅延によるタイムラグの抑制」の3つが挙げられます。
5Gが4G並みに普及すれば、通信速度の改善だけでなく、機器の同時接続も安定して行え、今以上にあらゆるものがインターネットにつながるでしょう。
また、映像のタイムラグが少なくなることから、さまざまな分野でその技術を活用できます。ここでは5Gの特徴について詳しくみていきましょう。
1. 超高速かつ大容量の通信
4Gの通信速度は「最大1Gbps」といわれていますが、5Gであれば4Gの10~20倍にあたる「最大10~20Gbps」という超高速での通信が可能です。また、4Gでは遅延してしまうような大容量のデータも、遅延なく通信できるようになります。
YouTubeやTikTokなどの動画SNSはこれまで以上に利用しやすくなるほか、4Kや8Kなどの高精細な動画も安定して配信でき、さらに身近なものとして利用されるようになるでしょう。
2. 多数の機器との同時接続
家庭や企業に設置されているWi-Fiなどは、現状の通信技術であれば最大で10台程度までは速度を落とすことなく同時接続できます。一方で5Gであれば、それ以上の多数機器との同時接続が可能で、同時に100台近い機器との同時接続が可能です。
特に同時接続の影響が大きいのは、IoTに関する分野であり、製造業などでは場内の設備や物品の位置や状態を常にインターネットで管理できます。
また、災害時などにはウェアラブル端末を活用。被災者の健康状態をリアルタイムで確認できるようにもなるでしょう。
多数の機器との同時接続が可能となれば、あらゆるサービスや技術の革新が予想されます。
3. 超低遅延によるタイムラグの抑制
リモート会議やライブ配信などを行う際、大きな課題となるのが映像や音声に生じるタイムラグです。5Gであれば通信の遅延によるタイムラグの抑制ができます。
タイムラグの抑制は、さまざまな技術やサービスに対して大きな影響を与えます。例えば、「映像を見ながらの遠隔手術」「車の自動運転」などは大きく技術が進化する可能性があるものの、少しのタイムラグが命取りとなりかねません。
実際の動きと映像の時差が少なくなり、安定した通信が実現すれば、あらゆる分野でリモート化や自動化がさらに加速するでしょう。
5Gを利用したWebマーケティングの変化
5Gが普及して一般的に利用されるようになれば「動画広告のさらなる主流化」「ARやVRサービス上での広告配信」「高解像度の映像を利用したデータ分析」というような、Webマーケティングに関する大きな変化の可能性があります。
現在は都市圏に多く見られるデジタルサイネージや、次世代技術であるVRなどの活用の増加も予想されます。ここでは5G利用によるWebマーケティングの変化について詳しくみていきましょう。
動画広告がより主流に
電車やバスなどを筆頭に、街中で見かける広告は看板やポスターなどは5Gの普及によってディスプレイ表示による動画広告が主流となるでしょう。現在でも都市圏の一部では活用されているものの、まだ全国的に普及しているとはいえません。
もし5Gが普及すれば、オフラインで動画広告を活用する機会が増加するとされています。例えば公共交通機関であれば、乗客のユーザー属性に合わせた広告が配信できたり、窓ガラスなどをディスプレイとして動画広告を流したりも可能です。
制約なくさまざまな場所で活用できる動画広告の今後に、注目しておきましょう。
ARやVRサービス上での広告配信
現在はポケモンGOをはじめ、ARやVRを活用したアプリやサービスが普及しつつあります。さらに5Gが普及すれば、このARやVRサービス上での広告配信が可能です。
ARやVR広告は従来の広告よりも表現の幅が広がり、訴求力の高い広告を配信できます。
通信速度の遅延による映像の乱れなどを原因として実用化が進んでいなかったARやVRも、5Gによってより身近なサービスとなる可能性が高いでしょう。それに伴い広告サービスも増加するとされています。
高解像度の映像を利用したデータ分析
5Gによって高解像度の映像も安定的に利用できるようになり、店舗内のヒートマップや購買までの人の流れをカメラで撮影したデータ分析などの可能になるでしょう。これまで高解像度の映像を通信するには有線で接続するしか選択肢がなく、高解像度カメラの設置に莫大なコストがかかっていました。
5Gを利用すればネット回線で高解像度の映像を通信でき、有線にする必要がなくなります。そのため設置コストを大きく抑えることが可能です。高解像度の映像を利用したデータ分析の分野は、5Gによって大きく変化することが予想されます。
動画広告における種類は大きく4つ
動画広告には大きく分けて「動画サイトで表示できるインストリーム広告」「サイトやアプリ内で表示できるインバナー広告」「スクロールに合わせて表示できるインリード広告」「SNSなどで表示できるインフィード広告」の4つがあります。
ただし、動画広告とひと口にいっても、それぞれ特徴や目的が異なります。ここでは動画広告における4つの種類について、詳しくみていきましょう。
1. 動画サイトで表示「インストリーム広告」
動画視聴前後や視聴中、テレビCMのように流れる動画広告が「インストリーム広告」です。動画の視聴がより身近になった現代では、馴染みの深い広告といえるでしょう。
インストリーム広告はユーザーが視聴している動画内で表示されるため、より確実にユーザーの興味の引きやすいという特徴があります。テレビCMのように映像や音を活用しており、一般的なネット広告よりも幅の利いた演出での訴求が可能です。
また「インストリーム広告」は「スキッパブル広告」と「ノンスキッパブル広告」の2種類に分けられます。「スキッパブル広告」とは、数分間ほど流れる再生時間の長い動画広告を指し、広告再生から数秒ほど経過すれば動画のスキップが可能です。
「ノンスキッパブル広告」は、数十秒程度の短尺の動画広告。スキッパブル広告とは異なり広告をスキップすることができません。
2. サイトやアプリ内で表示「インバナー広告」
「インバナー広告」は、Webサイトにある広告欄などに表示する動画広告です。サイトやアプリを開けば、メインのコンテンツとは関係なく、自動表示されます。
インバナー広告は、Webページを開いた際にメインとなるコンテンツ外で自動再生されます。インストリーム広告と比べると訴求力は低いものの、ユーザーに対する悪印象を与えるリスクも抑制でき、より自然な形で広告を表示できます。
広告自体は動画コンテンツ内に埋め込む形式ではないので、さまざまなWebサイトで訴求しやすい点が大きな特徴です。
3. スクロールに合わせて表示「インリード広告」
Webページなどのコンテンツを読み進める中で、スクロールに合わせて表示されるのが「インリード広告」です。インバナー広告はWebページ内で表示される動画の1つですが、インリード広告はコンテンツを閲覧していれば自然な形で目に入ってくるでしょう。
そのためインリード広告のほうが、インバナー広告よりもユーザーの興味を引きやすく、訴求力の高い動画広告であるといえるのです。またインリード広告はスマートフォンで動画広告を展開したい時にも適しています。
スマートフォンユーザーに効果的に訴求し集客したいと考えている場合には、利用をぜひ検討してみてください。
4. SNSなどで表示「インフィード広告」
Facebookやtwitter、Instagramなどのタイムラインに溶け込み、自然な形でアピールができるのが「インフィード広告」です。ネット広告は、押しつけの印象を持たれやすく、ユーザーによっては嫌悪感を抱く場合もあります。
しかし「インフィード広告」の場合、Facebookやtwitter、Instagramなどの掲載形式に沿って自動調整されながら表示されるため、よりコンテンツに溶け込みやすいのが特徴です。その分、訴求力は低下しますが押しつけ感を抑えた自然なアピールは、他の動画広告との大きな違いといえます。
このように動画広告には、さまざまな種類が存在します。それぞれに特徴があり、メリットやデメリットも異なるため、しっかりと広告の目的と照らし合わせたうえで、自社にあった動画広告を使用してみてください。
5G時代に動画広告をWebマーケティングに活かすメリット
5G時代にWebマーケティングで動画広告を活用するメリットとしては「ユーザーが短時間で深い理解が得られる」「より多くの情報を簡潔に伝えられる」「注目や話題を集めやすい」「高い費用対効果が得られる」「次のアクションへとつなげやすい」の5つが挙げられます。
動画広告は従来の画像やテキスト広告と比較すると表現の幅が広く、短時間で多くの情報を簡潔に伝えられるため、深い理解を得られやすいです。その結果として、次のアクションにつなげやすく、高い費用対効果も期待できるでしょう。
ここでは5G時代に動画広告をWebマーケティングに活かすメリットについて詳しく解説します。
ユーザーが短時間で深い理解が得られる
動画広告は画像やテキスト広告と異なり、動きを表現できるため印象の残りやすく、ユーザーが短時間かつ深い理解を得られる点がメリットです。
画像やテキスト広告のような動きのない静止画では、文字情報しか目に入りません。そのためキャッチコピーなどを用いて商品やサービスのアピールポイントを伝えることはできても、広告のみで深い理解までは得にくいでしょう。
動画広告によって動きをつければ表現の幅が広がり、効果的に情報を伝えられます。印象にも残りやすく、ユーザーは短時間で深い理解を得ることが可能です。
より多くの情報を簡潔に伝えられる
動画広告は静止画の約5,000倍の情報量が伝えられるとされ、短時間でより多くの情報を簡潔に伝えられます。前述のとおり、画像やテキスト広告といった静止画の場合、伝える情報量には限りがあるのです。そのため、多くの情報を一度では伝えられません。
動画広告であれば音声や映像を利用でき、文字では上手く表現できない情報も簡潔に伝えられます。商品の利便性やサービスのメリットなども、効果的にアピールできるでしょう。
注目や話題を集めやすい
動画広告は、画像やテキストといった従来の広告のよりもtwitterなどのSNSで拡散されやすくなっています。ユーザーの注目や話題を集めやすい点は、メリットの1つです。特にtwitterのタイムラインで表示される「インフィード広告」を活用すれば、ユーザーによってリツイートされ、自然に拡散される可能性が高くなります。
拡散されれば動画広告をより多くのユーザーに閲覧してもらえ、より効果的に商品やサービスを訴求できるでしょう。SNSでの拡散はビジュアルで楽しめる動画広告特有のものであり、従来の広告では得にくい効果なのです。
高い費用対効果が得られる
動画広告は、商品やサービスの属性に合わせユーザーを絞り込んだ形で広告表示できます。そのため、高い費用対効果を期待できるでしょう。
テレビCMを例にとって見てみましょう。テレビCMは視聴者のブランド認知を目的にしているケースが多く、大きな資金を用いて大量にCMを流すのが一般的です。もちろん、そのための資金力がなければCMを流すことができず、費用対効果が高いとはいえません。
動画広告であれば、ユーザーの閲覧データをもとに属性にあった種類の広告を表示でき、高い費用対効果が見込まれます。さらに視聴したユーザーのサイト内やサイト外での動きを追跡・分析できるため、今後のマーケティング施策にも活かせるでしょう。
次のアクションへとつなげやすい
動画広告は印象に残りやすく、情報を短時間で簡潔に伝えられることから、次のアクションにつなげやすいです。動画広告による購入率は、従来の広告に比べ約2倍ともいわれています。
購入のようなアクションに対して大きな影響を期待できることから、今後のWebマーケティング施策においては動画広告がより主流となっていくでしょう。効果的にユーザーへ訴求できる動画広告によって、今まで取りこぼしていた見込み客も確実に取り込める可能性があり、売上にも直結する重要な役割を果たします。
まとめ
5Gの活用によって、従来の4Gでは遅延が生じるような大容量のデータでも、高速での通信が可能です。5Gがさらに普及すれば「動画広告」や「AR・VR広告」といった膨大なデータ通信を要する広告も安定して流すことができ、Webマーケティングの常識は大きく変化するでしょう。
最近ではYouTubeなどの動画サービスだけでなく、WebサイトやFacebook、twitterなどのSNSでも動画広告が提供される機会が増えてきました。動画広告の選択肢がさらに広がる昨今、既にWebマーケティングにおける市場変化は始まっているともいえます。
ビジュアル的に訴求できることからSNS拡散されやすく、注目や話題を集めやすい動画広告はより効果的な集客が目指せます。短時間でより多くの情報を簡潔に伝えられることから、従来の広告よりも購入率や費用対効果が高く、Webマーケティングの主流になる可能性が高いです。
5Gが普及しつつある今を好機と捉え、動画広告によるWebマーケティングの変革を進めてみてはいかがでしょうか。
(ほったTubeの開設予定はありません…)
この記事を描いたひと
企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。