今一度見直そう、中小企業に必要と言われる4つのブランディング定義
「”ブランディング”とは何か説明してください。」と言われ、はっきりと自信を持って答えられますか?マーケティングを行うにも現在ではツールやデバイスも多く、組み合わせ方などで様々な戦略を行うことができます。
中小企業に必要と言われているブランディング。
外部への委託を行わず自社内で行う企業も多いのではないでしょうか。「いまいち成果が上がらない」「今の方法で合っているのかわからない」など原点回帰として、御社にとっての大切な「ブランディング」を今一度見直してみましょう。
中小企業に必要と言われるブランディング定義
そもそもブランディングの「BRAND」とはどういったものなのでしょうか。
言葉の起源としては畜産農家が牛を仕分ける際に採用した焼き印(burned)のことです。それに目をつけ、商品を発売する際に他社製品との区別をつけるために刻印を施したことが、ブランディングの始まりと言われています。
今ではブランドと聞くとLOUIS VUITTON、BMW、Appleなど洗練されたイメージを持ちがちですが、すべてがそうとも限りません。
ブランドを確立すること≠ブランディング
【ブランディング(Branding)】
顧客や消費者にとって価値のあるブランドを構築するための活動。ブランドの特徴や競合する企業・製品との違いを明確に提示することで、顧客や消費者の関心を高め、購買を促進することを目的とする。消費者との信頼関係を深めることで、ブランドの訴求力が向上し、競合他社に対して優位に立つことができる。
(出典:デジタル大辞泉)
よくある間違いですが「洗練されたブランドを確立することが“ブランディング”」ではありません。
例えば街の小さな電気屋さんが「電球1つからでもすぐ駆けつけます」と謳い、大手にはないフットワークの軽さと持ち前の地域密着力を掛け合わせ、口コミで顧客が増えたとします。するとこの小さな電気屋さんは顧客から「いつも親身になってくれて信頼できる」と思われます。
この信頼関係こそ“ブランディング”です。
「うちには他社と差別化できるような強みはないから」と悲観的になる必要はありません。
よし!じゃあ、インポート家電ショップと称し、大手に出回っていない輸入家電をセレクトして取り揃えよう!と博打的な施策を行う必要もありません。(もちろんダメだというわけでもありませんが)
大前提としてブランディングとはあくまで関係性をつくりあげることだと理解しておきましょう。
業界でのポジショニング
ブランディングにおいて最も重要といえることがポジショニングです。
業界内でどの立ち位置なのか。現在の競合はどこなのか。将来のビジョンとしてどの顧客を獲得していくのか。それは新しい市場なのか、また他の市場にどう影響をもたらすのか。
いくらこちら側から色付けをしアピールしようと、それを判断するのはすべて顧客です。ブランドを評価するのは他者認識であり、容易に操作することはできません。
足場をしっかり固め、安定したポジショニングを作るためには「ポジショニングマップ」と「セグメンテーション(市場細分化)」が必須となります。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップとは、市場分析をする基となる「軸(x軸、y軸)」を決め、それを元に市場を「2次元」マップに落とし込む手法のことを言います。マップ内で、競合他社との相対的な位置づけを把握し、立ち位置を決定していきます。
このポジショニングマップ作成において重要なポイントは…
- 独立性のある軸を設定する
- 決定要因を設定する
- 競合の少ないポジションを狙う
この3点に加え、実際にどういったベネフィット(利益)をもたらすのかを起点に組み立てていきます。コツとしてはまずはじめに業界内での飛びぬけた企業を羅列し、その後に近い業種を書き出すことにより、業界全体の幅も改めて理解でき、冷静な戦略を練ることが可能になります。
セグメンテーション(市場細分化)
ポジショニングマップを作成時に費用帯やテイスト別に企業を分類し、市場そのものを分割することを「セグメンテーション」と言います。業界でのポジションに対して、市場がどう細分されるかを認識するための施策です。ECサイト設計の際に、顧客セグメンテーション分析としてデータマイニングを行うケースもあり、業界によってはより細分化する場合もあります。
CI(コーポレート・アイデンティティー)策定
企業のブランディングとCIは、よく混同されて考えられます。
「ブランディング」はブランド構築により業績の向上を目的とするのに対して、「CI」は企業の在り方を明確にするものです。互いに目的の違うものではあり、本来ブランディング定義に含むものではありません。
しかし「中小企業が行うべきブランディング」と考えた場合、大きな相手に立ち向かうために、このCI策定は外せない要因になってきます。CIの本質を理解し策定することは、より早く強固なブランド構築に繋がります。
CI(コーポレート・アイデンティティー)とは
CIとは以下4つの指針の元に成り立っています。
- Mind Identity - 考え方
- Behavior Identity - 行動
- Visual Identity - 可視化
- Product Identity - 商品展開
CI戦略をよくロゴや理念を変えて行うものと勘違いしがちですが、決してそれだけではありません。企業の考え・行動・強みの指針を見つけ出し、その指針を元に顧客とコミュニケーションしていくことを忘れてはいけません。
思考言語化と行動変革
ポジショニングも決まり、企業としてのアイデンティティーも確立できた、なのになぜか顧客が獲得できない。その理由として最も多いのが「言語化されていない」こと「伴った行動ができていない」ことにあります。
これらはCIのBI(Behavior Identity - 行動)に近いもので、営業時・打ち合わせ時の応対やマインド面にある微妙なニュアンスが人によって変わってしまうと、受け取り手の捉え方もバラバラになってしまいます。中小企業の多くは一人が抱える業務が多岐にわたり、方針変化に対して末端まで浸透しづらいのが実情です。しかしそれらが顧客の認識変化の妨げとなり、いつまでたっても新しいステージに上がれない原因となるのです。
企業としてのコアにあたる理念(思考)を言語化し、スタッフ一人ひとりの行動へ変化させる(インナーブランディング)ことがブランディングの最重要課題になります。
まとめ
ブランディングには顧客との地道なコミュニケーション構築が必要になります。大きなクリエイティブが革命的な変化をもたらしてくれるものではありません。もちろんデザイン面での後押しこそ可能ですが、それらはあくまで表層面でのブランドに過ぎません。
正しくブランディングを理解することで、市場シェア・長期的な利益を得ることはできます。「ブランド」は普遍的なモノづくりです。小さな積み重ねは長期的な戦略の成功の鍵となるでしょう。
この記事を描いたひと
企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。