AIDMA・AISASとは購買行動モデルの1つ!違いは社会背景に
AIDMA・AISASとは購買行動モデルとも呼ばれ、マーケティング戦略において欠かせない概念です。
しかし、両者の違いについて理解している人は、意外と多くありません。そこで当記事では、AIDMAとAISASとは何なのかその概要や違いなどを紹介します。
AIDMAやAISASなどの購買行動モデルとは?
購買行動モデル(Consumer Behavior Model)とは、消費者が自社商品やサービスを認知し、購入や利用へ到達するまでの経過を説明したものです。購買行動モデルには、AIDMAやAISAS以外にもさまざまな種類が存在します。
現代では、ITの進歩によってインターネットのコンテンツやSNS、街頭広告のデジタル化が進み、情報源が多様化したことで購買行動が大きく変化しました。そのため、効率的かつ効果的なマーケティングを行うには、消費者の購買行動を理解したうえで戦略を立てていかなければなりません。
特にWebサイトやSNSなどから集客をし、見込み客から顧客へと育てるインバウンドマーケティングにおいては、消費者心理を的確に捉える必要があり、この購買行動モデルが欠かせません。
AIDMAとAISASの違いは「社会背景」
AIDMAとAISASの違いは、インターネット普及前後の「社会背景」にあります。AIDMAは、インターネットがまだ普及していなかった社会が前提であり、昭和から平成の初期頃までに主流となっていた購買行動モデルです。
一方でAISASは、インターネットが普及したネット社会が前提で、2000年代以降に主流になった購買行動モデルとなります。このモデルは、ネット検索を活用して情報収集が当たり前となってからの行動を反映されたものです。
Attention | Interest | Desire | Memory | Action |
Attention | Interest | Search | Action | Share |
AIDMA(アイドマ)とは何?
AIDMA(アイドマ)とは、注意を意味する「Attention」興味や関心を意味する「Interest」欲求を意味する「Desire」記憶を意味する「Memory」行動を意味する「Action」の5つの頭文字を取った行動購買モデルです。
ここでは、ネット社会になる前に主流となっていた「AIDMA」について、詳しく解説します。
注意を示す「Attention」
AIDMAの入口として潜在顧客に注意を促し、消費者に認知してもらう段階「Attention」です。テレビCMや新聞、雑誌の広告などを活用することで、潜在顧客に興味を抱いてもらう段階といえます。
インターネットの普及が拡がる昨今、ネット広告やSNS広告などが「Attention」の方法として有効です。また従来以上の訴求力と購買率が見込める、動画広告の活用も増えています。
興味や関心を示す「Interest」
商品やサービスを認知してもらった消費者に対して情報を提供し、理解を深めてもらう段階が、興味や関心を示す「Interest」です。情報提供ツールとしては、カタログやWebサイトなどがあります。
また、セミナーも「Interest」の代表的な施策の1つです。ここで魅力を上手く伝えることができなければ、消費者は次のステップに進みません。簡潔で分かりやすい施策を心がけ、効率よく訴求していきましょう。
欲求を示す「Desire」
消費者が商品を購入したいと思う段階が、欲求を示す「Desire」です。「Desire」の段階に入ると、情報提供をしたうえで商品の魅力を感じてもらい、感情に訴求して購入などに誘導していかなければなりません。
例えば、トライアル期間やデモ商品の提供、テスターなどは「Desire」の代表的な施策です。消費者の購入を後押しする段階と解釈するとわかりやすいでしょう。
記憶を示す「Memory」
消費者が商品や商品提供している企業を記憶に残す段階が、記憶を示す「Memory」です。例えばBtoBで扱われる商材や予約商品などは、商品の購入後に消費者の手元に届くまでに時間がかかります。
そのため、Memoryの段階では、商品や企業を記憶に残す必要があるのです。また、ふとした時に思い出すようなインパクトがあり、記憶に残りやすいキャッチフレーズで商品の魅力を伝えるような施策も必要となるでしょう。
行動を示す「Action」
AIDMAのゴールであり一連の購買行動によって消費者が実際に購入する段階が、行動を示す「Action」です。消費者が商品購入にいたる「Action」では、スムーズに商品購入へと進めるような施策を行う必要があります。
例えば、現金やクレジットカード、電子マネーなど決済方法を複数準備したり、ネットショップ上でワンクリック購入の導入をしたりすることが「Action」です。購入方法の煩わしさから顧客を取りこぼすようなことのないよう、「Action」に対する施策は慎重に行いましょう。
AISAS(アイサス)とは何?
AISAS(アイサス)とは注意を意味する「Attention」、興味や関心を意味する「Interest」、検索を意味する「Search」、行動を意味する「Action」、共有を意味する「Share」の5つの頭文字を取った行動購買モデルです。
ここではネット社会の現代に対応している「AISAS」について詳しく解説します。
注意を示す「Attention」
AISASの入口である「Attention」は、商品やサービスを知ってもらい、認知を促す段階です。この段階では、多くの潜在顧客や見込み客に商品やサービスを認知してもらうことが大きな課題となります。
AIDMAとは異なり、インターネットに注力するAISASでは、ネットやSNS広告だけでなく、SNS投稿による情報発信やSEO対策、口コミサイトなどへの登録なども重要な施策です。
興味や関心を示す「Interest」
認知した消費者に対し、自分に関連があるものだと認識させて興味や関心を持ってもらう段階が「Interest」です。「Interest」では、ターゲットとなる消費者層に興味を持ってもらえるようなキャッチコピーや画像を活用した広告施策と行うとよいでしょう。
Webサイトならば、ターゲットとなる消費者層に合わせた色合いやテキスト、読みたくなるような魅力的なタイトルや見出しなどが必要です。また近年では最適なユーザーに表示される動画広告も増えています。
検索を示す「Search」
消費品やサービスに興味を持った消費者が、ネット検索で情報収集を行う段階が「Search」です。この段階では情報収集だけでなく、興味を持った商品の類似商品も検索して、商品比較することも多いとされます。
消費者はSNS投稿や口コミ、商品レビューを確認して購入を検討しているため、Webサイトの内容や機能を充実させ、購買につながるアプローチを行いましょう。
行動を示す「Action」
商品の情報収集と商品比較を行い、実際に商品を購入する段階が、行動を示す「Action」です。購入する意思が固まったとしても、実際に購入という行動をとってもらえなければ意味がありません。
そのため、「Action」でのアプローチが重要です。施策としてはターゲットの消費者層が購入しやすい価格にしたり、クレジットカード決済や電子マネー決済など決済方法を複数準備したりなどが考えられます。
共有を示す「Share」
AISASのゴールであり、消費者が購入後にレビュー投稿やSNSでの口コミなどをネット上で共有する段階が「Share」です。「Share」によって情報が共有されることで、さらに次の「Attention」や「Interest」につながります。
消費者が購入したらサイクルが終了する「AIDMA」とは異なり、購入後もサイクルが回る点が「AISAS」の大きな特徴といえるでしょう。
購買行動モデルの活用事例
ここでは「AIDMA」「AISAS」の購買行動モデルを活用した事例について紹介します。前述のとおり、インターネットの普及による社会背景の変化から、購買行動モデルは「AIDMA」から「AISAS」へと変化しました。
それぞれの活用事例を参考にして、自社の商品やサービス、マーケティング戦略に最適な購買行動を選択しましょう。
AIDMAの活用事例
コカ・コーラシステムが販売している缶チューハイの「檸檬堂」は、AIDMAの代表的な活用事例です。その「檸檬堂」を例に、AIDMAの概念に当てはめて内容をみていきましょう。
Attention | フレッシュさが重視されている従来の缶チューハイにはない、酒屋テイストのデザインで注意を引きます。 |
Interest | 「鬼レモン」「塩レモン」「定番レモン」「はちみつレモン」のレモンに特化した商品のラインナップで関心を集めます。 |
Desire | コカ・コーラ初のアルコール飲料を九州限定で販売することで、消費者の購入欲求を高めます。 |
Memory | 全国販売と同時に有名俳優を起用し、パッケージと同じ世界観でテレビCMを放映することで、消費者の記憶に「檸檬堂」を植えつけます。 |
Action | 試飲や一部の飲食店で先行提供することで、味を試せる環境をつくり、消費者に購入するきっかけを促しました。 |
AISASの活用事例
AISASを効果的に活用するには、購入者によって口コミやレビューをネット上で共有してもらう必要があり、「Share」を重視した活用事例が多いです。
例えば、「ハッシュタグを利用したSNS投稿」「LINEやSNSで友達登録してくれた」といった方に対して割引やプレゼントなどの特典の提供などを行う企業は多いです。
SNSは拡散力が強く、友達登録をした人とつながっている不特定多数へ情報発信できるほか、商品やサービスなどの最新情報を提供できます。「Interest」と「Share」のアプローチにもつながり、再来店へ促してリピーターへと育てることも可能です。
AIDMAとAISAS以外の3つの購買行動モデル
AIDMAとAISAS以外の購買モデルには、「慎重な決断に用いるAISCEAS」「満足までを考慮するAIDCAS」「SNSに特化したSIPS」などがあります。AIDMAから発展したフレームワークもあり、似た部分や異なる部分が存在します。
それぞれの特徴を理解したうえで、AIDMAとAISASに限定することなく、自社に最適な購買行動モデルを活用しましょう。
1.慎重な決断に用いる「AISCEAS(アイセアス)」
AISASに比較を意味する「Comparison」検討を意味する「Examination」を加え、慎重な決断に用いるための購買行動モデルが「AISCEAS(アイセアス)」です。「AISCEAS」は次のような段階で構成されます。
- 注意「Attention」
- 興味や関心「Interest」
- 検索「Search」
- 比較「Comparison」
- 検討「Examination」
- 行動「Action」
- 共有「Share」
「AISCEAS」もインターネットが普及した現代を背景とした購買行動モデルですが、段階が多く高額商品やBtoB取引などの慎重な決断が求められる場合に活用されます。
2.満足までを考慮する「AIDCAS(アイドカス)」
確信を意味する「Conviction」、満足を意味する「Satisfaction」を加え、満足まで考慮する購買行動モデルが「AIDCS(アイドカス)」です。「AIDCS」は次のような段階で構成されます。
- 注意「Attention」
- 興味「Interest」
- 欲求「Desire」
- 確信「Conviction」
- 購入「Action」
- 満足「Satisfaction」
購入で終わらず、購入後の「満足」まで考慮する「AIDCS」は、近年注目される「カスタマーサクセス」の考え方も取り入れた、新しいフレームワークの1つです。
3.SNSに特化した「SIPS」
2011年に初めて提唱され「AISCEAS」よりも、SNSに特化した購買行動モデルが「SIPS」です。「SIPS」は次のような段階で構成されています。
- 共感「Sympathize」
- 確認「Identify」
- 参加「Participate」
- 共有・拡散「Share & Spread」
まとめ
インターネットやスマホ普及、5G、IoTなど社会背景の変化に対応するべく、購買行動モデルも少しずつ変化します。インターネットが普及した現代を背景としたマーケティング施策を取る場合は「AISAS」を活用するとよいでしょう。
ただし自社の商品やサービス、マーケティング戦略によっては、ネットが普及する以前の社会を背景とした「AIDMA」が適するケースもあります。自社のターゲット層や商品、サービスの特徴などを明確にしたうえで、最適な行動購買モデルを活用してみてください。
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この記事を描いたひと
企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。