企画の軸をつくる「クリエイティブブリーフ」。Web制作との相性は?

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Web制作などのクリエイティブな仕事では、スタートする前段階で綿密な計画を立て、目標の達成度を測れるようにすることが重要です。そこでおすすめするのが「クリエイティブブリーフ」となります。

クリエイティブブリーフは、コミュニケーションのターゲットや目的などが記された「設計図」のようなものです。もし「仕事が上手くいかない」「なぜか途中でプロジェクトが頓挫してしまう」といった課題があるなら、このクリエイティブブリーフを作成することで解決するかもしれません。

そこで本記事では、クリエイティブリーフの概要や構成する8つの要素、作成のメリット、注意点などを解説します。

クリエイティブブリーフとは何?

クリエイティブ・ブリーフとは期待値の設定やターゲット、目的、ゴールなどプロジェクトを進める上で必要となる情報を端的にまとめたドキュメントです。これだけ見ると、どこか難しそうに感じる方も多いかもしれません。また、プレゼン資料のようなイメージを持つ場合もあるでしょう。

しかし、実際にはプロジェクトに関わるすべてのメンバーが理解し、成果物が出来上がるまでのよりどころとするもので、難しい資料ではありません。Web制作においても、この「まとめ」があることで、デザインの色や配置など細かな部分が論点になりがちな場面でも「デザインだけでなく本来の目的達成」に向けていつでも仕切り直すことが可能です。

クリエイティブ・ブリーフは広告会社やマーケティング会社、Web制作会社などのクリエイティブ志向の強い企業でより効果を発揮します。クリエイティブリーフの内容がクライアントや現場、経営層、各責任者達などの共通事項となり、目的を忠実に反映した成果物を作るベースとなるからです。

「誰に何を伝えるべきか」「どのような成果を求められているか」「進行上の根拠や判断基準は」などがシンプルに共有されるので、議論や作業の方向性が外れることなく、目標達成に向けてそれぞれが力を注げられるようになります。プロジェクトの成功には、クリエイティブ ブリーフが必須であり、関わるメンバーやチーム、クライアントなどのすべての方を目標達成に導く重要な書類の一つです。

クリエイティブブリーフを構成する8要素 

プロジェクトなどの目標達成には欠かせないクリエイティブブリーフですが、どのような内容で構成されているのでしょうか。ここでは、クリエイティブリーフを構成する8つの要素についてそれぞれ解説します。

【第1要素】目的

まず1つ目が「目的」です。何を目的とするのかを明確にします。「コンバージョン数の30%増加させる」「問い合わせフォームへの誘導件数を100件増やす」といった達成可能な目標のことです。

Web制作においては、コンセプトやビジュアルの方向性を定めるうえで、目標を細かく具体的にすることが重要なポイントとなります。「リピート率を上げる」といった漠然とした内容ではなく、「A施策を2週間実施して、リピート率を20%増加させる」といったように誰が見ても目的が理解できる状態にしておきましょう。

【第2要素】ターゲット

2つ目は「ターゲット」です。ここでは「ターゲット層」ではなく「個人」を設定するようにしましょう。例えば「20代 独身 男性」とするより、「ある場所へ今年中にどうしても旅行したいと思い、その方法や相場、お得情報を検索する20代の独身男性」といった具合です。

求めている内容や現在の行動、ターゲットの属性などを明確にします。ここで注意するべきは、現在の顧客ではなく、理想の顧客をターゲットにすることです。

このプロジェクトや施策で実際に変化を起こしてほしい相手を具体な人物像に落とし込むことが、成果物の質の向上へとつながります。

【第3要素】現状

3つ目が「現状」です。今現在、Webサイトや商品、自社へのイメージがどのような状態であるかを表します。施策によって変化させるべき「コト」や「モノ」を現状の観点から考察することが必要です。

正確な調査結果を集めることが理想ですが、実際には知人やクライアントなどにヒアリングした結果を「現状」としてもよいでしょう。

【第4要素】将来像

4つ目が「将来像」です。現状を変化させた結果のゴールや将来像を指します。将来にあるべき商品やwebサイト像、ブランド力などを設定する部分です。

【第5要素】コンシューマーインサイト

5つ目は「コンシューマインサイト」です。コンシューマー・インサイトとは、人の無意識にある「本音」を指します。訪問者の有意識の行動と、無意識での行動とでは、事実が異なることも多くあります。

深層心理を理解しなければ、施策が見当違いのものになりかねません。現状の認識を将来的に変化させるためには、どんな深層心理にアプローチするかを明確にしましょう。

【第6要素】プロポジション

6つ目は「プロポジション」です。ターゲットに何を伝え、何を提案するのを自社の商品やWebサイト、ブランドなどの観点から考察します。プロポジションは、クリエイティブブリーフの中でも重要な役割を果たす要素のひとつです。

【第7要素】信じられる理由

7つ目は「信じられる理由」です。プロポジションの根拠を明確して、誰もが納得できる理由でなければなりません。主にWebサイトの利便性や優位性、商品の性能、市場におけるシェアなどが挙げられるでしょう。

【第8要素】トーン

8つ目は「トーン」です。プロポジションの根拠も重要ですが、語り口や雰囲気よってその伝わり方も変わります。説得させるような口調や優しく語りかけるような口調なのかなど、メッセージを強調するためにはトーンの設定が重要な要素です。

「カジュアル」「権威的」「自然体」などのトーンには様々なバリエーションがあります。

Web制作におけるブリーフ作成のメリット

クリエイティブリーフを作成することで、様々なメリットを得ることができます。そこでweb制作におけるクリエイティブリーフ作成のメリットを見ていきましょう。 

本来のコンセプトから外れにくくする

クリエイティブ系のプロジェクトを進行する場合、デザイン的な部分に注力するあまりに、いつのまにか本来のコンセプトとは異なる成果物となったということも少なくありません。これはWeb制作においても同様です。

しかし、クリエイティブブリーフの作成によって、デザイナーやマーケターなどがそれぞれ目指すべき方向性が事前に明確になっているので、本来のコンセプトから外れにくくすることができます。もし、外れていたとしても、早期に軌道修正することができるでしょう。

メンバー同士が共通認識を持てる

クリエイティブリーフを作成することで、マーケターとデザイナーの間で共通認識を持つことができます。チームに共通認識があれば、それぞれの観点からアイデアを出やすくなります。

マーケター側の施策や狙いをクリエイティブブリーフを通じて共有することで、デザイナー側はそれに合わせデザインを考えやすくなるでしょう。また、ターゲットを共有していれば、メッセージの訴求方法が明確になるというメリットもあります。

Web制作におけるブリーフ作成の注意点

Web制作においてクリエイティブブリーフを作成する際の注意点についても解説します。

目的やメッセージが複数存在しないか

まずは「目的やメッセージが複数存在しないか」という点です。Web制作に関わらず、何か訴求したい時にさまざまな内容を盛り込みすぎて、本来伝えたい内容が分からないということはよくあります。

人は一度に理解できる情報の量が決まっています。それ以上のことを伝えても理解することができません。

Web制作におけるクリエイティブリーフ作成においても、1つに目標や目的に絞って計画することをおすすめします。ただし、絞り過ぎて内容が薄くならないようにも注意しましょう。

過度に言及しすぎない

次は「過度に言及しすぎない」ように注意しましょう。伝えたい内容や試したい施策などがクリエイティブブリーフには多く含まれるかもしれません。

そこで「実現可能かどうか」「実現できる根拠はあるか」など過度に言及しすぎると、せっかくのアイデアや気づきが台無しになりかねません。

クリエイティブブリーフの作成段階からあまりに具体案に囚われすぎると、その計画自体がスケールダウンする可能性があります。広告はマーケター、デザインはデザイナーといったように、専門スキルを持つ担当者にある程度は任せる方がより質の高い成果物となるでしょう。

本当のインサイトに気づけているか

最後は「本当のインサイトに気づけているか」という点です。Web制作において本当にインサイトに気づけていない場合、自分よがりな結果にもつながりかねません。

ユーザーに気付きを与え、何らかの変化を起こす内容になっているかどうかは、客観的なアドバイスも聞きながら修正していく必要があるでしょう。

クリエイティブブリーフを作成し本質に触れよう

ここまでクリエイティブリーフの概要や構成する8つの要素、作成のメリット、注意点などを解説しました。クリエイティブブリーフは関係するメンバーで共有することを目的にまとめたドキュメントです。

しかし、その内容が複雑で理解できなかったり、ボリュームが多すぎたりすれば情報が発散してしまい共有するに値しない書類にもなりえます。

クリエイティブリーフを作成する意味やその構成をしっかりと理解し、いつでも本質に辿りつけるように簡潔にまとめましょう。本記事を参考にクリエイティブブリーフの作成の第一歩を踏み出していただければ幸いです。

ふむふむ

この記事を描いたひと

untenna編集部

企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。

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