【文章力を強化しよう】何かを伝えるためには「知らない」を知る必要がある

2019.10.29 ライティング
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自分の文章や言葉が相手にきちんと伝わっているのだろうか。

もし、何らかの形で文章や言葉で情報発信している人であれば、一度は悩む問題です。今回はあなたの表現がみんなに伝わるようにするために、言語化能力や「伝える力」を鍛えて文章力を強化する方法や考え方についてご説明します。

誰が読んでもわかる文章を作るためには

文章や言葉は、一定の文法を用いれば、誰にでも伝わるかと言えば、実はそうでもありません。いわゆる「言いたいことはわかるけど、伝わってこない」状態や「何を言いたいのかわからない」というのは、情報を発信する側と情報を受信する側に齟齬が起きている状態と言えます。

では、誰が読んでもわかる文章を作るために、文章や言葉を伝えるためにどうするべきでしょうか。

子供に絵本を読み聞かせるような感覚を持つ

子供に絵本を読み聞かせる時、わからないことがあるとひとつひとつ説明することがあります。

例えば、桃太郎を読んだとして、桃とは何か、鬼とは何か、どうしてきびだんごで仲間になるのかなどなど、大人からすれば「こういうものだし、こういう物語だよ」という部分でも、子供からすれば納得いかなければ後の内容が頭に入りにくいです。もちろん、全てに答えることは不可能ですが、可能な限り答えられるものは答えておく、噛み砕いた表現やわかりやすい言葉に差し替えることを意識しましょう。

なんで?どうして?という気持ちが沸く部分を減らす

意味がわからない言葉がある状態で文章を読み進めると、不安な気持ちになるだけでなく、結果として伝わらない、理解してもらえない可能性が高まります。桃太郎の話で例えれば、なぜ桃から人間が生まれるのか、そもそもなぜ川に桃が流れてきたのかなど、説明できない部分があるのと同じです。

必ずしもしっかりとしたエビデンスがあるもので文章を作るとは限らないからこそ、意味が確立しているものや、世間一般的な意味合いとして定義されているものは、なるべく説明に組み込むことが大切です。文章を読む側としては、理解しやすい文章ほど読み進めやすいですし、伝わりやすいという実感があります。

読みやすさ=わかりやすいという方程式とまでは言いませんが、読みにくさ=わかりにくいという方程式が成り立つ場合があることも覚えておきましょう。

読者が「知ってること」を前提にせず「知らないこと」を前提にする

特定のジャンルのブログや記事、文章を書き続けていると自分が知っていることが当たり前になってしまうことがあります。読む側からすれば、言葉の意味や文脈、文章の経緯を知らなければ、やはり全体的に伝わりにくい=わかりにく文章になりがちです。

また、SEOなどを意識するあまり、同じ表現や同じ文章を使うことを忌避してしまい、必要な説明が省かれてしまうことも少なくありません。オンライン上の文章であれば適切に引用を行うことで、同じ文章を使うことができますし、本などの紙媒介だとしても、やはり引用の手順を抑えておけば、必要な説明を省かずにすみます。

自分にとっての「当たり前や常識」に気がつくことができず、他の人も知ってるだろうという気持ちにさえもならず、難しい言葉を羅列してしまうことがあります。基本的に読者は自由に文章を選び、好きなように読むことができるということ、知らないことの方が多いのが当たり前であるということを忘れないようにしましょう。

知らないやわからないは“想像以上”

世の中の「知らない」や「わからない」は想像以上です。

例えば、あなたが普段からパソコンやスマホを当たり前に使っていたとすれば「クリックって何?」や「タップって?スワイプって?」と聞かれれば、きっと驚いてしまうでしょう。しかし、知らない側からすれば、その時点では知らなくても困らなかったり、特に必要としていない情報だった可能性もあります。

自分を読者として考えた場合、何らかの文書を読む時、知っているから読むというよりも「知らないから読む」というパターンがあるとは思いませんか。もちろん、より詳しくなりたい、より深い知識を得たいと考えて文章を読むこともあるでしょう。

また、時には知りたいことを知るために文章を読んでいたのに、さらに知らないことがでてきてしまこともありますし、逆に知っていることばかり出てくることもあります。

誰が読むのかわからないからこそ、読者が何を知っているのか、何を知らないのか、執筆する側は「わからない」のも当然であると言えるでしょう。

自分の未知の領域や分野の文章を読んでみる

人は自分の興味の無い未知の領域の文章を読むと、大抵混乱します。しかし、実際の読者はその状態で文章を読み進めていると言っても過言ではありません。だからこそ、自分の未知の領域や分野の文章を読むことで「わからない」を確認する必要があります。

「わからないから読んでいるのに、さらにわからなくなった」

この感覚が掴めるようになれば、文章を書く側としてほんの少しレベルアップできます。

誰かに対して文章を書く時に「わからないことを、さらにわかりにくくしていないだろうか」という視点を持つことで、説明をしているつもりが、さらに難解にしてしまう状況を避けることができるからです。

同時に「なぜ、自分はこの文章を理解できなかったのだろう」という、わからない人の立場に立てるようになれば、どうすれば理解できるか、伝わる文章を作れるようになるか模索できるようにもなります。

未経験や未知が理解しにくいのは当たり前

未経験だからわからない、未知だから知らないというのはごく当たり前のことです。体験したことがないから、感覚もわからないですし、知らないから何がわかっていないのかさえもわからない状態です。

しかし、実際には未経験や未知のものの方が圧倒的に多いです。言い換えれば、未経験や未知であることさえも意識していない状態ですから、理解しにくいですし、理解されにくい状態のままだと言えます。だからこそ、未経験や未知を体験する入り口、知るきっかけとなる文章であれば、体験してもらうこと、知ってもらうことが大切になります。

どうすれば体験してもらえるのか、知ってもらえるのかを考えること、そして何よりも「伝わるように表現ためにはどうするべきか」を考え続けることが重要です。逆に言えば、未経験や未知の入り口である文章が「伝わりやすく、わかりやすいもの」であれば、初心者の読者からすれば理解を深める貴重な文章になるということ。

知りたい情報を知ることができた。知るだけでなく、理解することができた。読者にそう感じてもらうことを意識するのが大切です。

読む側の立場を知ることで「満足できる情報」を記述できる

読む側が全くの初心者や未体験の方の立場を知るのはとても大切なことです。

例えば、パソコン初心者の方であれば、電源の入れ方、USBの接続方法、Bluetoothとはなにか、LANとは何か、WiFiとは何かなどなど、誰にでも知っていそうだと感じてしまうことも、知らない可能性があります。伝えたい情報の全体像や伝えたい情報の範囲に応じて「知らない可能性がある部分」を把握して記述しましょう。

もちろん、その都度、全ての補足や説明をすることは実際には難しいです。Web上の記事やブログであれば、必要な情報が記載されているURLのリンクを貼ったり、引用することで意味や必要な情報を細くすることができます。

また、既知の方であったとしても、情報に対する再確認やおさらいにもなりますから「説明し過ぎかな」という感覚を持つこと無く、可能な限り必要な情報へアクセスできる状態を整えておきましょう。

ペルソナやターゲットの扱いはどうすべきか

文章を書くときにペルソナやターゲットを定めることが求められる場合もあるでしょう。特定の情報に基づいて文章を作るのだから、ある程度の基礎知識はあると考えてしまうかもしれません。しかし、実際に読まれる方がペルソナやターゲットとして設定した人物像やユーザ層、属性であるとは限りません。

ペルソナやターゲットが設定されている時こそ、相手が何も知らないことを意識して執筆する必要があります。

特定の年齢層や性別など、属性が定まっている時

細かいペルソナや明確なターゲットがある場合、属性に応じて文章を作る必要性があるように感じます。もちろん、ペルソナやターゲットが望む文章、情報を記述するのは間違っていません。しかし、ペルソナやターゲットから外れた属性の人が読む可能性があることも忘れてはいけないのです。

ペルソナやターゲットは「情報をどれだけ掘り下げるのか」という部分や「読者が求めているだろうという想像」の方向性を定めるものと捉えると、知らない人に向けても文章が書きやすく、伝わりやすくなります。そもそも、ペルソナやターゲットとする属性の人が、必ずしも「文章を書く側」が求める知識や経験、同じ考えを持っているなんてこと、まずありえませんよね。

だからこそ、誰が読んでも伝わりやすい文章、わかりやすい文章を書くことが求められると言えます。もちろん、誰が読んでも理解できる文章を作るというのは、非常に難しいことです。

人は十人十色、性格や性別、年齢や住んでいる地域、職業や趣味など同じ人はいませんし、例え同じような人でも、その時の気分や感情によって、受け止め方も理解のされ方も変わってきます。同時に、誰にでも伝わるように、理解されるためにはどうすればいいのかと考えすぎず、率直な言葉で文章を作ることも、時には必要と言えます。

なぜなら、想像しているよりも、執筆する側の気持ち、感情は文章から読者に伝わりやすく、フラットな気持ちで執筆しているつもりが、感情的だったり、気持ちがこもりすぎた文章になってしまうこともあるからです。

「知っているだろう」という気持ちで説明を省かない

知識や経験、周囲の環境によっては「知らない」という前提が思い浮かばないこともあります。

友達や家族、職場の同僚、上司や部下、知り合いや親戚などなど、自分の周囲の人たちにとっての「当たり前」や観測できる範囲での現代の常識と照らし合わせてしまうと「知らないことが当たり前」の人たちが見えなくなってしまいます。そもそも、世の中には知らないことの方が多いのが当たり前なのに、自分が知っていることを相手も知っていると「押し付けて」しまうのは非常に危険です。

同時に、同じ文章や言葉だとしても、受け止め方や感じ方が違うのはごく当たり前だということも忘れないようにしましょう。知っているだろうではなく、「もしかしたら、知らないかもしれない?」くらいのスタンスの方が、伝わりやすく、親切で丁寧な文章になります。

「伝えるべき情報」と「伝えるための文章量」を見誤らない

何かを伝える時に文章が長すぎたり、短すぎることで不安になることがあります。もしかしたら、長過ぎて最後まで読んでもらえないのではないか、または短過ぎて理解を深められないのではないかと悩むこともあるかもしれません。

実際にひとつのテーマやジャンル、またはキーワードを用いて執筆する時はそれぞれに必要な文章量があります。しかし、説明をするための文章量には「これだ!」という明確な数字や正解はありません。なぜなら、テーマやジャンル、キーワードは無限ですし、何よりも執筆する人、タイミングやその時の感情や経験、知識によって文書量が異なってしまうからです。

同時に、執筆するスタイルにもよりますが、ある程度書き溜めてから「削りながら」編集する方もいますし「加筆しながら」編集する方もいます。どちらにしても、自分の文章を何度も読むこと、チェックを嫌がらないことが大切です。

その上で、この文章量で物足りなくはないか、読みにくい文章量ではないか、または文章が長くなっているだけで、必要な部分が欠けていないかを意識してみてください。

【結論】 何かを伝えるためには「知らない」を知る必要がある

人に何かを伝える時、相手の知らないを知ることはできません。だからこそ、知らないとは何だろうと考える必要があるのです。わからない人の立場が少しでも理解できれば、なぜ、伝わらないのか、理解できないのかがほんの少しわかるようになります。

例えば、何もかも初めてのアルバイトをしなければならないとして、全てが未体験、未知の分野だとします。あなたは教えてもらわなければ、何もできません。しかし、教えてくれる先輩が意地悪で難しい言い方ばかりだったり、一度で覚えろ、そんなの知っていて当然だろと言われたりすれば、何もできないまま嫌な気持ちになるでしょう。

全く同じとは言いませんが「知らない」や「わからない」を理解するためにそういった想像もしてみてください。その上で「きちんと教えてくれる先輩」になるために、どのような言葉で、どんな文章を作るべきかを考えてみることをおすすめします。

初心忘れるべからずぅぅぅ

この記事を描いたひと

untenna編集部

企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。

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